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「お先に…」
「ホント…予定無いんですか?」
同僚達の口々の問い掛けと挨拶にデスクに向かい合って背を向けたまま言葉を返す。
「お疲れ…」
「マジで無いって…気にせずに帰れよ!待ってんだろう『あ・い・て』が…」

今日はクリスマスイブ…ついでに明日からは休み…とあっては、共に過ごす相手のいる者にとっては何かと予定が詰まって忙しい事だろう。
それを示すように、いつもなら残業で残っている者が多い時間帯にも関わらず残ってるのは俺一人だ。
(つまんね~、マジでつまんね~)
胸の内で毒付いても…こればっかりは仕方のない事で…。
言っとくけど…モテ無い訳じゃ無い!断じて…。自分で言うのもなんだけど、顔は流行の『イケメン』って言われる部類だし…スタイルだって悪くないと自負している。
実際、今日だって一月前から予定が入ったり潰れたりの繰り返しで…相手に不住は無かった…と思っている。
ところが…だ!最後の予定者が『ごめ~ん急に仕事が入ったの…。』なんて言ってきたのは昨日…。
(今更…どうしろって言うんだよ~)
そう叫んでも、当日に相手を見つけるなんて出来なくて…挙句…取引先からは書類に不備があったとクレームが付いて…残業決定!
お洒落なレストランを予約していた俺は、当日キャンセルもきかず…仕方なく日頃何かと世話になってる?いや、世話している後輩に譲ってやった。
(だってアイツ…今朝からそれ狙いなのか…ずっと付いて回って鬱陶しいくらいだった。)
まったく…『いいよ、お前にやるから相手いるなら行って来い』そう言ったら途端に嬉しそうに…『さすが先輩…太っ腹~』そう言って小走りに駆けて行った。
疲れる…。

そんなこんなで今夜の俺は最悪の気分だ。でも、愚痴ったところで現状が変わる訳も無く…目の前の書類と睨めっこするしかない。
いつもなら手分けしてする作業も、流石に今日は誰にも頼めずに一人で片付けるしかない。
気の遠くなりそうな書類を目にしていると…アイツの顔が浮かんだ。
この書類を突っ返した相手…小憎らしい程に男前なアイツ…。

大学時代は俺に懐いていて…常に一緒にいて…可愛がっていたし、頼りにしていた後輩だったのに…。今じゃ…小憎らしい程のエリートサラリーマンになっていて…。
初めてアイツが取引先の相手として顔を見せた時に思わず懐かしさに声を掛けた。だけどアイツはアッサリと『お久しぶりです。』なんて言葉だけ返してきて…それ以降も昔の事など無かったような感じで接してくる。
チョットだけの寂しさと…自分だけが相手に親しみを持っていたのかと思う悔しさで…複雑な思いを感じていた。
ホント…腹が立つ!『こんなミスだらけの書類は困りますね、今日中に訂正して明日には出して欲しいものです。』だって…。
『明日は休日…』そう言い掛けた俺の言葉を隔てたのもアイツ…『関係ないでしょう?そちらのミスなんですから…休日を潰されるのは私の方ですよ。』だって…。
(思い出しても腹が立つ…)
ムカムカしても先に進まないので取り合えずやるしかなかった。期限は明日…きっと午前中には出さないとアイツはまた…そう思うと何がなんでも仕上げてやろうと思った。

やっとの思いで書類を仕上げた後は気分直しに一杯…そう思ったけど、どこもココも…恋人同士や家族連れで。あまりに自分が場違いな気がして…止めた。
街中の賑わいを横目に自宅に真っすぐ帰れば…これまた腹の立つ…。マンションに明々と付いた光、家族団らんか自宅でのパーティーか…灯りの付いていないのは…俺ん家だけじゃん。
(ココまで来て…追い討ちかけるかよ~)
今年のクリスマスは…最悪だ!でも、今更行く当ても誘う友人の当ても無くて…落ち込んだ気分のままに帰宅する方を選んだ。
(クサクサする!一人で酒でも飲んで寝る!)
人気の無いロビーを通りエレベーターに乗り込む、フロアを過ぎる度に扉の向こうから漏れ聞こえる楽しそうな声…。
夢見て買ったマンション…早すぎたよな…今日みたいな日は思いっきり後悔する。
ガクンという揺れと共にエレベーターが止まった。開いた扉の向こうを遠い目で見る。小窓から漏れる灯が通り道を照らしていた。
トボトボと自宅に向って歩く俺の足取りは重い。
(やっぱ…外で時間潰すべきだったかな…)
そんな事を思いつつ辿り付いた自宅の前に大きな影があった。
(客か?誰にも何も聞いてないと思うけど…)
ゆっくり近づいた俺はその影が誰なのかを確認して驚いた。だって…昼間に散々嫌味を言われて別れた相手…アイツだった。
思わずココまで来てさらに文句を言われるのかと俺は身構えた。
「なんだよ…まだ文句あんのか?家まで押しかけて来なくても…電話でもくれたらお伺いしましたよ。」
疲れた気分と身体の俺にとって…会いたくない相手だった。
するとアイツはゆっくりと俺を見た。ジッと…まるで観察されている虫みたいに感じるほど…ただジッと見られた。
「なっなんだよ…気持ち悪いな…」
後ずさる身体を必死で止める。
「寂しそうですね…イブだと云うのに相手がいないようですね。」
相変わらず冷たい声をしていた。
「余計なお世話だよ!わざわざ嫌味を言いに来たのかよ。」
アイツの言い方が感に障って…つい声が大きくなった。それにアイツは何も返さなかった。暫らく俺の顔をジッと見て…そして言った。
「やっとアンタを一人に出来た。」
(はぁ~意味わかんね~)
思いっきり顔に?マークを示してやった。するとアイツは笑った…昔と同じように…俺は思わず見惚れた。
「アンタ相変わらず鈍い!ニコニコ笑って周りに好かれて…俺の事なんて再会まで忘れてましたて感じだったろう?滅茶苦茶ムカついた。」
アイツがゆっくり俺に近づいて来る。俺は動けなくて…アイツの動きをただ見ていた。
「今日だって…次から次へと約束相手を変えることが出来るほど好かれてるしな、だから…全部ダメにしてやった。」
(益々わかんね~なに言ってんの?)
「アンタを振った相手は俺が声を掛けたら簡単にアンタとの約束反故にしやがった…その程度の奴らに引っかかりまくって…いい加減俺もムカつくんだけど…」
キツイ視線を向けられて思わずドキッとした。胸もドクドクと脈打って…音が外に漏れそうなくらいだと思った。
(なんで俺ドキドキしてんの?って、なんでアイツがムカついてんの?もう、理解不能??)
「ココまで言ってもまだ分からないほど鈍いアンタ相手に俺はもう我慢しない事にした。何が何でも俺のモンにする。昔から…決めてたから…。」
そう言うと思いっきり胸に抱きしめられた。言われた事が一方的で…までよく理解出来ていない俺だけど…。
抱き寄せられて頬に触れたアイツのコートは冷たかった。夜露に濡れているのか少し湿った感じもした。
いつ帰るか分からない俺をココで…この寒空の下待っていたのだと思うとなんか切ない感じがした。今日という日がイブと言う特別の日だからだろうか?俺にも良く分からないけど…。なんか、昔みたいに懐いてくるコイツが可愛く思えた。だからつい言ってしまった…。
「ココじゃ寒いし…折角来たんだから中入ってく?」
俺を抱きしめたままでコイツは答えた…『当然…』と…。聞こえた声は小さかったけど豪く自信を持った声だった。

こんなイブもあってもイイか?こんな始まりもあってもイイかもしえないと思った。
=その後俺はチョットだけ後悔する事になった。だってよ~マジでコイツ自分以外のヤツと俺が居ると怒るんだ…その度に俺は散々な目にあってる
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Categorie12月お題「クリスマス」
Genre小説・文学 ThemeBL小説

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